不均衡発展の代償:大都市に広がるスラム街(下)
2013年06月09日付 Jam-e Jam 紙

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 同氏は、大都市のもつ魅力は資金力のない移住者たちを大都市郊外へと引きつける触媒の役割を果たしていると指摘した上で、「郊外のスラム街の住民がもつ多くの共通点とは、彼らが名もなき存在だ〔=一般社会から見捨てられ、人間としての尊厳を失った存在だ〕という点にある。そのため、厳しい状況下での生活も、彼らにとって比較的容易なものとなっている。名もなき存在であることが、郊外のスラム街の住民の間に共通の痛みの感情を作り出し、そのことが厳しい状況に彼らが耐えることを楽にさせているのである」と続けた。

〔‥‥〕

 ヘドマトゴザール氏の考えでは、移住者が無秩序に大都市に流れ込むことで、都市環境は全ての市民の〔都市生活上の〕需要〔※例えば住宅、上下水道、電気、ガスなど〕に応えることができなくなり、結果として非正規の居住地がスラム街住民の需要に応える形で出現するのだという。

 社会学者である同氏は、次のように明言している。

スラム街出現の最大の原因の一つが大都市における富の不均等な配分にあることは、間違いない。つまり、衛生的で快適かつ豊かな生活を営むための施設・設備がすべての市民の間に公平に配分されておらず、これらの施設・設備が大都市の中心部に集中していると、その都市の郊外における都市設備の不備は顕著なものとなってしまうのである。

 同氏は、小都市におけるスラム街の問題はここではさしたるテーマではないと指摘したうえで、次のように述べている。

巨視的なレベルで言えば、大都市と小都市の間の富の不平等な配分が、自動的に大都市におけるスラム街の出現の原因となっている。つまり、小都市に雇用や豊かな暮らしのための設備が存在しないような場合、大都市にスラム街が生まれるのを、我々は覚悟しなければならないのである。


スラム街は社会問題の温床

 国内のスラム街地域に住む住民の数がどれくらいかについて、信頼に値する統計はないが、しかし一般的には、アルボルズ州とテヘラン州に最大のスラム街があると言われている。

 こうしたスラム街に住む住民たちが全員、犯罪や非行に関わっていると言うのは不当である。その逆に、スラム街の住民の多くは、法律を遵守し、他人の権利を守りながら、その他の都市住民と共に平和的な生活を送っている。しかしながら、「ほったて小屋地域」とか「ブリキ街」などと呼ばれるスラム街の構造そのものが、さまざまな犯罪が発生する可能性を高めているというのも、事実なのである。

 ヘドマトゴザール氏の考えによれば、〔スラム街の住民が〕名もなき存在であること〔=一般社会から見捨てられ、人間としての尊厳を失った状態にあること〕が、スラム街での犯罪発生率を高める原因となっているという。同氏は「都市郊外での富の不均等な配分が、ときに貧困や失業に端を発する犯罪を生む原因となる。麻薬の密売・使用、売春、窃盗をスラム街で多く見かけるのは、そのためなのである」と指摘している。

〔‥‥〕

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( 翻訳者:8411056 )
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