ロウハーニー次期大統領「イラン国民の正当な権利については妥協しない」(4)
2013年06月18日付 Jam-e Jam 紙

「濃縮活動停止の時代は過ぎた」

 ある海外メディアの記者が「イラン・イスラーム共和国は信頼醸成のために、再びウラン濃縮活動を停止する可能性はあるか」と質問したことに対し、ロウハーニー師は「もはや濃縮活動停止の時代は過ぎた。今やわれわれは特別な状況下にあり、信頼醸成ための方法は多様だ」と答えた。

 国家安全保障最高評議会における革命最高指導者代理を務める同師はさらに、「イランによるウラン濃縮活動に対する国際社会の信頼をどのように引きつけ、持続させていくべきかについて、われわれは2005年の協議の中で、シラク氏〔※当時の仏大統領〕と最終的な合意に達した。この合意は最終的な解決策であり得たし、ドイツもこの合意に同意していた。ところがイギリスは、アメリカの圧力によって協力を拒み、〔その結果、最終合意の締結に向けた〕作業は頓挫してしまったのである」と続けた。

 次期大統領は、2005年の協議でシラク氏との間で取り交わされた合意こそ、信頼醸成のための方法の一つであるとの見方を示した。

「私は全イラン国民の大統領である」

 ある記者が、〔選挙戦で〕セイエド・モハンマド・ハータミーとアーヤトッラー・ハーシェミー=ラフサンジャーニーがロウハーニー支持を表明したことに触れた上で、改革派の要求に応えるつもりかと質問したことに対し、「支援してくれたすべての人に、私は心から感謝している。しかし、私は今日から全イラン国民によって選ばれた大統領であって、私の職責とは国民に注意を向け、彼らに奉仕することであるということ、そしてこれは国民自身の協力によって可能なのだということを、われわれは忘れるべきではない」と答えた。

 同師はさらに、「私が運営する政府が希望の政府となることに、私は大きな期待を抱いている。私たち全員が未来を建設すべきであり、神の思し召しがあれば、そのようになるだろう。あらゆる党派・グループから寄せられる合法的かつ正当な要求すべてに、私は注意を払うつもりだ」強調した上で、さらに「私は〔国民によって〕選ばれたイランの大統領として、憲法を施行する義務があり、このことに私は忠実に従う。憲法のすべての条項、特に第三条の施行に努力する」と指摘した。

※訳注:憲法第三条は、政府が担うさまざまな義務について列挙した条項。

交渉の活性化

 次期大統領はまた、核問題についての質問に回答する中で、5+1〔※国連安保理常任理事国とドイツ〕との核交渉を活性化させていくつもりだ表明した上で、「イランが有する当然の権利について、次期政権はしっかりとそれを考慮し、〔同時に〕不当な脅迫行為を国民の頭上から取り除き、世界の国々、特に近隣諸国とよりよい関係を築くべく努力していくことになろう」と語った。

 ハサン・ロウハーニー師はこの記者会見の続きで、シリア問題に関する質問に答えて、「現在シリアを支配している政府は、来る選挙まで、世界のすべての国々が認める政府としての地位を保つべきである。2014年の選挙で人民の意思となったものが、それが何であれ、統治者となるだろう」と述べた。

 アフマディーネジャード支持者を名乗るある記者が、「第10期政権〔=現在の第二次アフマディーネジャード政権〕で活躍する優秀な幹部らを政権から「刈り取ってしまう」〔=排除する〕つもりかと質問したことに対し、同師は自身の選挙向けのシンボルがカギだったことに触れ、次のように述べた。

私たちが〔選挙向けの宣伝で〕述べたのは、〔問題を解決のための〕「カギ」を持っているということであって、〔意に沿わぬ人物を排除する〕「カマ」を持っていると言ったのではない。次期政権では、〔さまざまな人物を要職に登用する際の基準として〕その人物が役に立つ人物かどうかを基準とする、能力主義を採り入れるつもりである。この〔現アフマディーネジャード政権下で〕8年間要職を務め、その仕事ぶりが適切であった親愛なる人々に対し、私は謙虚な姿勢で敬意を払うとともに、彼らを今後とも〔自らの政権で〕活用していきたいと思う。もちろん、チケットをもたずにバスに無賃乗車した者〔=能力がないにもかかわらず、縁故主義によって政権内で要職を得た者〕については、問題は彼自身にあり、降車してもらうことになる。

〔‥‥〕

 「ロウハーニー政権では原理派に属する人物の登用もあるのか」との某記者の質問に対し、同師は「自身の選挙スローガンでも言及したとおり、次期政権は超党派による能力主義的な政権となるだろう。次期政権では、穏健派、改革派、及び原理派の登用に制約を設けるようなことはないだろう」と説明を加えた。

つづく



(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:8411033 )
( 記事ID:30590 )