イランのビリオネラ、逮捕:制裁下でのオイルマネーをめぐって
2013年12月31日付 Hamshahri 紙


※訳者注:アーザリー[イラン国内のトルコ系]の企業家であるバーバク・ザンジャーニー(1971年、テヘラン生まれ)が、2013年12月30日に逮捕された。

ザンジャーニーは、アジア・中央アジア・中東を拠点とする70以上の企業(建設業、情報テクノ、化粧品、医療、不動産ほか)を傘下にもつソリネット・グループの保有者で、ゲシュム航空やサッカーチームを保有することでも知られる。

前政権下での社会保障庁に関わる汚職事件トルコでの汚職収賄事件でも彼の名があげられており、経済制裁下の石油取引で果たした役割と疑惑が取り沙汰されている。



【ハムシャフリー・オンライン】憲法第90条委員会のスポークスマンはバーバク・ザンジャーニーの容疑を石油と石油化学製品を売却して得た20億6千万ユーロ[約2900億円]を政府に返金しなかったことであると述べ、こう発表した。

来週土曜日には中央銀行と検察庁の責任者らも同席する会議が開かれる 。

同スポークスマン はこの会議の詳細について以下のように述べた。

憲法第90条委員会による先の会議では、責任者らの意見陳述に矛盾が見られたため今回の会議が再び開かれる。強調されるのは、人々に対し透明で正確な情報が伝えられ、人々がこの一件の裏に[黒幕として]何者かが居るのではと考えないようにすることだろう。

同スポークスマンはこう続けた。

この会議では同様に、バーバク・ザンジャーニーの事件が担当者らの時間とエネルギーをこれ以上奪うこと無く、またこの一件の調査を迅速に進めることが強調されるであろう。


■20億6千万ユーロ《未返却》の容疑とは?

憲法第90条委員会のスポークスマンであるアフザリー・ファルドは、先日バーバク・ザンジャーニーの拘留に至った彼の違反事由と容疑は何であるかという質問の回答として以下のように述べた。

憲法第90条委員会において提起されたのはは、石油と石油化学製品の売却によって得た20億6千万ユーロ[約2900億円]が政府に返金されていないことに関してである。

ファルド氏は以下のように続けた。

この金は石油省に収められるべきものであり国民のものである。個人がこの金を自らのものとすべきではないし、投資のためにこの金を使用したり、「不労所得」[不正な手段を用いた不当な利益、濡れ手で粟の利益]としたりするべきではない。

ファルド氏は、さらに以下のように述べた。

憲法第90条委員会のなすべき事は違反事由の解明であり、中央銀行と検察庁の責任担当者らも出席して土曜日に行われる会議では、違反事由の調査が完了し、審議の為に司法権に任されるであろう。司法権を司る責任者らにも担当者らの時間とエネルギーを過度に浪費しない為に出来るだけ迅速にこの一件を調査するよう期待している。


■経済制裁回避で果たした役割は?

ファルド氏は、バーバク・ザンジャーニーが、制裁の回避と石油取引に関わる資金の授受において影響力を持っていると言われることに対し、こう答えた。

彼がどの程度制裁を回避することができたかということは、私には関係のないことだ。しかし、人々が言うほどではなかったと私は考えている。 そのことに関して何の役割を果たしていなかったと言うつもりも無い。しかし、もし制裁を回避していたとしたら、その影響は誰にでもわかる形で感じられるものであっただろう。


憲法第90条委員会のスポークスマンは、さらに、以下のように続けた。

しかし、このことは、ある者が長期間、国の金庫を意のままに動かし、本人が言う根拠に基づいてそれを投資や「不労所得」捻出のために使用してもいいという理由にはなり得ない。

さらに、同スポークスマンはこう続けた。

もしバーバク・ザンジャーニーが制裁を回避するために貢献していたとしたら 、そのことはきっと彼の事件に影響を及ぼすだろう。しかし、彼がいくら[国家のために]貢献したからといっても、彼が公共財産を私物化したり自身のツケを政府によって清算していないという証拠にはならないのである。

同スポークスマンは、(イランのアザリー人実業家である)レザー・ザッラーブの逮捕がバーバク・ザンジャーニーの事件に何か関係があるかという質問に対しこう述べた。

このことに関して私は何も知らない。

バハールとキャブーダルアーハング選出の国会議員であり国会第90条委員会委員長であるモハンマドアリー・プールモフタールは、この問題について以下のように発言した。

第90条委員会において扱うバーバク・ザンジャーニーの案件は、彼の石油をめぐる負債に関わることであり、我々は他の議題には介入しないし情報もない。

プールモフタール委員長はバーバク・ザンジャーニーの負債に関して以下のように表明した。

我々は中央銀行に問い合わせたが未だに回答は得ていない。、中央銀行の発言の後に我々はこのことについて意見を述べることとする。


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( 翻訳者:8410157 )
( 記事ID:32672 )