われわれは賠償金を払うべきか否か:英大使館の受けた損害をめぐって議論
2014年07月02日付 Mardomsalari 紙


【政治部:クーロシュ・シャラフシャーヒー】革命的価値観の再興を訴えながら、一部の者たちが違法にイギリス大使館を襲撃したのは、1390年〔西暦2011年〕の秋のことだった。この襲撃によって、イギリス大使館には損害が生じ、一部の物品については大使館から持ち出されるという出来事も起きた。

 この事件以降、イギリスは大使館を閉鎖して大使館関係者たちを本国に呼び戻した。これに対し、イラン国会も報復行動に出て、イギリスにあるイラン大使館を閉鎖する決定を下した。最終的にイランとイギリスの外交関係は危機的状況に陥り、両国の国民の多くもこうした閉鎖によって混乱に巻き込まれた。

 両国間の関係悪化は、双方にとって決して利益となることではないことから、〔ロウハーニー政権発足以降〕大使館の再開が、まずは任国に赴任しない形での臨時代理大使の設置という形で開始された。そしてその後、両国の関係改善への流れが生まれ、現在、在イラン・イギリス大使館の再開をめぐる議論が取り沙汰されるようになっている。

 こうした中、イランはイギリス大使館への侵入者によって生じた損害について、賠償金を支払わなければならないのではないかとの声が聞かれ始めている。今取り沙汰されているのは、〔政府による〕損害賠償の支払いは合法であるのか、果たして我が国はこの損害を償わなければならないのか、という疑問である。

 このことに関し、国会の文化委員会の委員の一人は次のように指摘している。

在イラン・イギリス大使館襲撃事件で法を犯した者たちに対しては、法に従って対処する必要がある。もっと明確に言うならば、司法権はこの件に踏み込み、違反行為を犯した人物に対して法律に則って対処するべきだ。〔‥‥〕

 モハンマド・バーゲリー=バナービー氏は国会通信とのインタビューの中で、さらに次のように付け加えた。

違法な行為に対しては、世界のどこにおいてであれ、処罰されるべきであるのは間違いない。〔‥‥〕しかし強調しておかねばならないのは、イギリス大使館襲撃事件での一部の大学生の過ちにはきちんと対応するべきだと言っても、イギリスのような国が賠償について云々する資格があるというようなことではない、ということである。

 他方、イラン・イギリス議員友好連盟の議長は、次のように述べている。

国会はイギリスとの関係樹立について法律を制定し、その補足条項の中で、大使館の再開の権限を外務省に委ねている。したがって、もし外務省がイギリスとの関係樹立を決断したならば、そのことについて〔国会が〕とやかく言うべきではない。

 国家安全保障外交政策委員会の委員を務めるアッバースアリー・マンスーリー=アーラーニー氏はILNA(イラン労働通信)のインタビューで、〔‥‥〕さらに次のように付け加えている。

イギリス大使館襲撃事件の犯人たちの処罰と、こうした人物の〔素性の〕調査を〔今後の国会の〕課題にしようとすると、在テヘラン・イギリス大使館の再開に反対する者たちは当然のように、イランとイギリスのこれまでの関係の歴史や、同国のイスラーム共和国に対する政策や裏切り行為について、調査を求めてくるはずだ。

 同氏はその上で、

もしこのようなことになれば、望むと望まざるとにかかわらず、われわれは政府の外交活動やその目標を阻害してしまうだろう。特にイギリスは5+1〔国連安保理常任理事国とドイツ〕の一員であることから、イギリスとの関係は〔イランにとって〕特に重要であり、この関係が今後の5+1との核交渉に重要な役割を果たすからだ。

 と指摘した。

 同氏によれば、過去のことは過去のこととしてとどめ、過ぎたことを蒸し返して、現在の国政の流れや政府の動きを邪魔すべきではないという。確かにイギリス大使館を襲撃した者たちの処罰は道理に適っているかもしれないが、しかしイギリスとの関係樹立に異を唱えている人々もまた、イランの権利に対する同国の裏切り行為を蒸し返そうとしていることも、事実として受け止める必要があるだろう。

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( 翻訳者:8411100  )
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