イラク内戦中に高まるクルディスタン自治区の独立に向けた大合唱(下)
2014年07月12日付 Mardomsalari 紙

クルディスタン自治政府とヌーリー・マーリキー首相の間での緊張、高まる

 ダーイシュのテロリストらとの戦闘が続く中、イラク・クルディスタン自治区指導者の独立要求やイラク解体にむけたクルディスタン自治政府の試みと軌を一にする形で、バールザーニー一派に近い某メディアは同自治区内でクルド紙幣を発行するプランが持ち上がっていることを伝えた。

 イラク・クルディスタン自治政府のネチェルヴァーン・バールザーニー首相〔※クルディスタン自治区指導者のマスウード・バールザーニーの甥〕直属のテレビ局「ルダウ」はこのように報じた上で、クルド紙幣の図柄を公表している。それはイラク中央銀行から完全に独立した形でデザインされており、「イラク」のシンボルや同名の表記・言及はいっさい見られず、同国の地図も見当たらない。

 他方、イラク・クルディスタン自治区のペシュメルガ省は、同自治区がイラク軍の退却した地域との境界で塹壕を掘り始めていることを発表した。それによると、この塹壕はニーナワー県にあるシリアとイラクの国境の町ラビーアから始まり、ディヤーラ県ジャルーラー市にあるイラクとイランの国境まで続くとのことである。

 〔そうした中、〕マフムード・アル=スルヒーの支持者らがイラク南部で鎮圧されたことを受け、彼に近い人々は現在アルビールに逃亡している。彼らは先週カルバラーで起きた戦闘の詳細について発表、彼の支持者ら150人以上が殺害されたとことを指摘した上で、アル=スルヒーは安全な場所に潜伏していることを強調した。マフムード・ハサン・アル=スルヒーはカルバラーのシーア派宗教指導者の1人で、シーア派のマルジャ(宗教的権威)であると主張して、ディーワーニーヤ県やカルバラー県、バスラ県にいる自身の信奉者たちを召集していた。

 彼は、イラクのシーア派信徒のマルジャ(権威)であるアーヤトッラー・スィースターニーやイラン・イスラーム共和国の政策に対して反対の立場を取っていることで知られており、これまで彼に近い勢力はアーヤトッラー・スィースターニーに近い人々やイラク政府軍と、たびたび衝突を繰り返してきた。

 アル=スルヒーに近い人々が〔クルディスタン自治区の首都である〕アルビールに逃亡し、様々な集団や部族出身の反マリキ派数百名に合流したことで、この地域〔=イラク・クルディスタン自治区〕は今やイラク中央政府に異を唱える人たちが集まる、最大の中心地と化している。

 マーリキー首相は反乱者たちをアルビールに匿っているとして、クルディスタン自治区の指導者たちを非難した。イラク・クルディスタン自治区の指導者であるマスウード・バールザーニーはマーリキー発言に反発、マーリキー政権の閣議を欠席するよう、クルド系の閣僚らに呼びかけている。バールザーニーはまた、マーリキーに対してイラク首相のポストから退くように求めている。

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本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:KNHN )
( 記事ID:34917 )