イランにおける尊属殺人の実態(4)
2015年02月04日付 Jam-e Jam 紙

専門家の見解(1):尊属殺人の多くの主要原因は「裏切られた」という感覚

アブドッサマド・ホッラムシャーヒー(弁護士)】夫婦間の殺人や子殺しのような尊属殺人は、社会の環境・状況に直接的に関係している。尊属殺人との関係で存在する重要な問題として、〔夫婦間の〕裏切り、〔親子間の〕相互理解の欠如と偏見、そして家族の聖域を守ろうとする考え方、が挙げられる。

 「裏切られた」という思いが、夫婦間の殺人の多くの原因となっている。しかし子殺しでは、父親あるいは母親の〔子供に対する〕偏った見方がその主要な原因となっている。例えば、父親は娘の〔規範からの〕逸脱や息子の〔麻薬〕依存などを理由に、殺人を犯す。危機的な状況にあって、彼に自らをコントロールする能力はない。

 とはいえ、〔親の子に対する〕偏った見方だけが子殺しの唯一の原因とは言えない。むしろ近年では、麻薬、特に覚醒剤の使用に起因する幻覚が子殺しの主要な原因となっている。他の犯罪では主要な要因となっている金銭的貧困の重要度は、尊属殺人では低い。また、家族内の不和や〔夫婦〕相互の喧嘩も、尊属殺人発生の要因としては、二次的であると考えられる。

 学校やモスクといった教育施設や文化部門による文化作りに向けた役割が、きわめて重要だ。その一方で、夫婦間の問題を調査するにあたっては、相談センターの文化的役割・使命も重要である。

 残念なことに、近年〔夫婦間の〕婚姻生活の寿命が短くなる傾向にあり、相談センターがこうした問題を煽っているケースが見受けられる。相談会の過程で、離婚によって婚姻生活をやめるよう勧告するケースがあるのだ。これは、多くの家族相談員や心理学者たちの軽率さを示すものだ。彼らはシンプルな解決策を提示することで、夫婦生活に希望の窓を開くことができるにもかかわらず、である。

専門家の見解(2):殺人の動機

【セイエド・メフディー・サーベリー(法医学調査センター委員)】近年、心理的・経済的プレッシャーに起因する家族内の緊張や対立が、家族内で発生する重大犯罪を増やしている。

 他方で、精神刺激薬、特に覚醒剤の使用は病的な空想を引き起こす原因となっており、実際、それは激しい被害妄想や現実から遊離した考え、妄想を人々にもたらしている。家族の人間が〔麻薬を〕使用した人物に対して敵意を抱いているとか、妻が夫を裏切ろうとしているとかいった空想をもたらしているのである。

 ここで言う「精神刺激薬」とは〔鎮痛作用のある、狭義の〕麻薬とは異なり、それを使用した者のエネルギーを増加させ、眠気を減少させる薬物のことであり、そのために一部の人々、特に若者の間での使用が顕著になっている。コカイン、覚醒剤、そして精神障害の治療に処方されるリタリンなどが、これに含まれる。

つづく


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( 翻訳者:イマーゴピエターティス )
( 記事ID:36917 )