トルコ・リラ下落の理由は?
2019年03月23日付 Cumhuriyet 紙

 経済学者のマフフィ・エイルメズ氏は、トルコリラ(TL)下落の原因について著した。エイルメズ氏は、「全通貨がドルに対して下落している一方、その中でTLの下落は一番である」と述べ、「インフレ、中央銀行の金利、CDSプレミアムの面から、トルコはグループの弱い環という立場にある」とした。

経済史において興味深い実験がある: 1994年、変動金利制だった際に固定金利制において有効な手段が協議されデノミが行われた。この時代でも実行不可能な3重の仮定が、正しいか否か我々は検証した。

 まず、状況を把握しよう。世界で状況は、3ヶ月前よりさらに悲観的である。期待は裏切られている状況である。こうした期待の低下が決定に影響を与え、結果として市場を混乱させている。
 下表は、期待の低下を反映している

ドル指数は、2019年第一四半期に大きな変化はなく、米国10年債権利回りは2018年に示した上昇を失い、これに対し下落が予想されたブレント原油は上昇、ドイツ10年債券利回りはマイナスに下落したようだ。これらは全て市場での悲観的予測をはっきりと反映している。金価格の上昇は、安全な港を求めているということをまさに示しているのであり、市場においてマイナス要因が進行しているということを示すもう一つの指標である。

 さあ脆弱な5つの国を示した表に戻ることにしよう、さて失われた期待はこれらの国にどのような影響を与えたのだろうか?下表は、脆弱な5カ国の通貨のドルに対する状況を示している。(マイナス記号は、ドルに対する下落を表している。)

 トルコ・リラは、この5カ国の中で2018年最も価値の下がった通貨である。同じ現象がこの3日間でも起こった。全通貨が対ドルで下落した一方、トルコはその中でも一番の下落を示した

 この最近の現象において、好ましくない相違がどこから生まれたのか見てみよう。

 表から分かるように、トルコは脆弱な5カ国と比べ、基本的市場指標が悪いほうに乖離している。インフレ、中央銀行の金利とCDSプレミアムの面で、トルコはグループの弱い環という立場にある。
 これらに加えて、近年はトルコをより好ましくならざる状況に導いた事態があった。

 まず、中央銀行の外貨準備高が急激に下落した。以下の表はこれを明確に示している。
 特に3月13〜21日の週は、ボタシュの大量の対外支払が中央銀行の外貨準備高を急激に減少させ、海外の投資家らはこれを不安視し、外貨の需要が上がった。このため、TL安は加速した。

 ロシアからのS-400ミサイルシステム購入問題、ベネズエラの金問題がアメリカとの間での問題を引き起こす一方、ゴラン高原帰属問題でアメリカに反対する声明を発表したことは、トルコでのリスクの悪化に火をつけた。リスク査定で我々が使用している5年物CDSプライムにおいて先週明らかとなった50ベーシス・ポイント前後での増加から、このことを見ることができる。

 最後に、トルコは実行不可能な3重の仮説を無視し、金利も為替レートもコントロールしようとして、この現象を引き起こした。実行不可能な3重の仮説によると、資本移動が自由なら、為替レートと金利を同時にはコントロールできない。トルコでは資本移動は自由で、すなわちお金は望むがままに経済へ出入りできる。一見すると為替レートは市場で自由に決定されるようだが、実際は為替レートを抑えるため市中銀行を通じて様々な介入が行われている。一見すると金利は市場で自由に決定されるようだが、様々な誘導で銀行は金利を絶え間なく引き下げている。何はともあれ、資本移動が自由な経済で、実は為替レートも金利もコントロールされようとしている。このような状況で、ある一点を超えれば、破綻しても驚くことではない。

経済史において興味深い実験がある: 1994年、変動相場制だった際に固定相場制において有効な手段が協議されデノミが行われた。この時代にも実行不可能な3つの仮定が、正しいか否か我々は検証した。

この記事は、当初マフフィ・エイルメズ氏個人のインターネットサイトで公開された。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:甲斐さゆみ )
( 記事ID:46488 )