イラン原子力庁長官、IAEAの在り方を批判

2012年09月18日付 Mardomsalari 紙

 ウィーンで国際原子力機関(IAEA)の第56回年次総会が開かれ、天野之弥IAEA事務局長はイランとの対話継続を強調、イラン核問題に関する体系だったアプローチをめぐって、双方がこれ以上の遅滞なく合意することに期待を表明した。

 こうした発言の一方で、この会議に参加したイラン原子力庁長官のフェレイドゥーン・アッバースィー氏は、「IAEAのアプローチは、対話が結果を残すのに適したものではない」と述べた。

〔‥‥〕

 イランのIAEA常駐代表を務めるアリー・アスガル・ソルターニーイェ大使とともに総会に出席したフェレイドゥーン・アッバースィー原子力庁長官兼副大統領は、総会初日のメイン・スピーカーの一人であった。

 同長官は「イラン・イスラーム共和国はイスラームの教えに基づき、大量破壊兵器の製造及び使用に、つねに反対の立場を取ってきたし、今でも取っている。イスラーム革命最高指導者は核兵器の製造及び使用をハラーム(イスラーム法上の禁止)であると強調している」と指摘、その上で我が国の複数の核科学者・専門家が過去1年間でテロの被害に遭ったことに触れ、次のように述べた。「ダーリユーシュ・レザーイーネジャード技師の殉教後、シオニズムのエージェントたちは別の犯罪行為に着手し、モスタファー・アフマディーロウシャン技師と彼の関係者レザー・ガシュガーイーが〔‥‥〕爆弾によって殉教した」。

 同氏はさらに、「この間、IAEAとの交渉役だった人物や、我が国の複数の専門家たちへのテロが、テロリストたちによって計画された。テロリストたちは、情報省ならびにイスラーム革命防衛隊保安局のタイムリーな対策のおかげで特定され、逮捕された。これについては、マス・メディアを通じて公表した通りだ」と続けた。

 アッバースィー長官はさらに、「核のテロリズムの出現と、これに対するIAEA事務局の無関心、そしてこの現象に対する、ときに表面的でありきたりの回答。こうした問題は将来、その他の国々の〔核の〕専門家たちをも危険に晒す可能性がある」と強調した。

 イラン原子力庁長官は、昨年ウィーンでIAEA事務局長と会談を行ったことについて触れ、イランの核活動について近くから知り、核施設の視察をしてもらおうと、事務局長をイランに招待したことを明かした上で、「我が国の核活動を検査し、活動の正しさについて安心してもらうための、合理的な期間というものを提案するよう、事務局長に提案した。ところがそれから1年が経ったにもかかわらず、いまだこの要請への回答は得られていない〔‥‥〕」と述べた。〔‥‥〕

 同長官はテロリストや破壊分子らがIAEA内に浸透し、彼らによって秘密裏に意思決定が行われている可能性があることを明らかにし、IAEA事務局長とその同僚たちにこのことについて知らせ、必要な警告を行うことが必要だと述べた上で、次のように続けた。

1391年モルダード月27日〔2012年8月17日〕金曜日、爆発物によって、ゴム市から〔核施設の〕フォルドゥー・センター(殉教者アリーモハンマディー・センター)に通じる送電ケーブルが切断された。停電は、遠心分離器にダメージを与える一つの方法である。その翌日の早朝、IAEAの査察官らが同センターの抜き打ち査察を求めてきた。果たして、この査察〔要請〕と先の爆破事件は無関係と言えるだろうか?IAEAの査察官以外、誰が短期間のうちにセンター内部にアクセスし、破壊の程度を記録・報告することのできる人がいるだろうか?

 同氏はナタンズ・センター(殉教者アフマディーロウシャン・センター)でも似たようなことがあったと指摘し、次のように述べた。

IAEAは制裁の解除について、われわれを手助けしてくれないが、スタックスネット・ウィルスがわれわれの設備を標的として利用されたときは、〔‥‥〕遠心分離器の台数や濃縮されたウランの正確な量〔‥‥〕などについて、極めて正確な報告書を作成し、それを公表することで、その情報を簡単に破壊分子やテロリストたちに提供してしまった。

 アッバースィー氏はさらに、「2012年5月20日にも、同じことが繰り返された。遺憾ながら、それは敬愛すべき事務局長による最近の報告書の中に、より詳細な形で記述されている」と言明した。

〔‥‥〕

 アッバースィー副大統領はその上で、「イランとの関係についての自らのアプローチを改めるよう、IAEAに勧告する。IAEAは、イラン・イスラーム共和国に敵意を抱く一部の国(こうした国は国際機関を道具のように使っている)が持ち出してくる嫌疑を解消するために、イランに協力を求めるべきだ」と強調した。

 アッバースィー氏はさらに、ダブルスタンダードで選択的な対応は、〔IAEAの〕加盟各国の権利を損なうと指摘した上で、「イランは非同盟運動の議長国として、IAEA理事会の不公正な構造の破壊を求める。理事会を民主主義的な仕組みにすることで、IAEAの一層の強化が図られるだろう。核兵器を使用したことのある国は、理事会に参加する資格などない」と明言した。

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)


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翻訳者:ペルシア語記事翻訳班
記事ID:27632