ドイツ:難民の間で広がるキリスト教への改宗(1)

2016年07月11日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ドイツで広がる難民の改宗 信条の自由を保障する国における個人的な試み(1)

【ベルリン:イーマーン・ムルーク】

難民危機がはじまった当初から、ドイツの教会はボランティアとして、難民に対する物資と精神的な援助を行ってきた。一部のイスラーム・コミュニティでは、このような支援が難民に影響を及ぼし、彼らイスラーム教徒のキリスト教への改宗を推進するのではないかという危惧を示している。そうした危惧を招くようなことがあるのだろうか?

最近発表されたいくつかのドイツの報道レポートでは、イスラーム教徒の難民のキリスト教への改宗現象が取り上げられている。中でもドイツ・テレビのチャンネル1のレポートと雑誌「フォーカス」の記事は、イランやアフガニスタン、パキスタンからの難民申請者の数名に対する洗礼の様子を伝えている。これら二つの報道が予測するには、このように改宗が推進される背景には、難民資格を得るチャンスを上げるためという期待感がある。

■教会は新来者たちを迎え入れる

ケルンの西にあるケーニヒスドルフの町のカトリック教会が所有する古い修道女宿舎を訪れると、ある30代の女性が私〔記者〕に扉を開けてくれた。彼女はクルド人難民で、教育を受けておらず、7児の母でもある。グーンシャという名のその女性は、簡単なアラビア語で、教会が彼女と彼女の家族に施してくれた支援に対して、感謝と恩義の気持ちを表した。彼女はDWアラビック〔訳注:ドイツの国際放送局DW/ドイチェ・ヴィレのアラビア語版〕に対してこう述べた。「夫と7人の子どもを連れてドイツに着いてから、まだ5か月しか経っていません。私たちは何も持たずに逃げてきましたが、この教会が必要なものが全て揃っているこの家を私たちに提供してくれました。」

グーンシャ氏の家族や同様の新来者たちは、〔難民の〕登録をしていない。彼らはたいてい、ドイツに到着した直後から支援を求め教会に身を寄せる。このようにして、難民と教会および教会に属する諸団体との関係が築き上げられる。

私はケルンの西のフレッヒェンにあるカトリック教会へ場所を移した。ライン地区にある最も歴史あるローマ・カトリック教会である。そこで私は、難民に提供される社会サービスについてより詳しく知るため、アレックス・クリストフ・ディーリッヒ氏と、何人かの難民支援・援助プログラムの代表者たちと会った。

アレックス・ディーリッヒ氏は、そうした支援プログラムが提供する最も重要なサービスについて、DWアラビックに以下のように語った。「我々が互いに協力して提供しているサービスの中で最も重要なものは、言語の講習会です。これは、教会の中の移民事務所で行われます。もう一つの活動は、ドイツ市民と難民との間の“互いに知り合う、わかり合うカフェ”というものです。それに加えて、修道女たちが難民に食べ物と衣服とサービスを提供するという活動もあります。」

教会と協力して活動を行う「一緒に、そしてお互いのために」活動の代表者であるユルゲン・フォーズン氏は、「互いに知り合うカフェ」こそが支援活動の中でも最も重要なプログラムであると明言した。この活動は、毎週この地域の様々な教会で開催され、その目的は、新しくやって来た新来者たちとドイツ人が互いに知りあう機会を創ることにある。

(つづく)


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翻訳者:阿部光太郎
記事ID:40883