イラク:「ローザンヌ条約失効」神話は本当か?(7)

2022年06月19日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イラクとローザンヌ条約失効の神話

【トルコ:本紙】

ひとたびローザンヌ条約の条項を参照してみれば、条約の期間についてのいかなる言及や、その有効期間を100年とする規定が存在していないことに気が付くだろう。だからといって上述した全ての文言は、地域諸国に対するトルコの介入を否定し得るのだろうか?もちろんそうではない。なぜならトルコは地域大国であるとみなされており、地域における独自の利益と政治的アジェンダをもっているからだ。それゆえトルコ人は経済的利益のために、正確には政府が渇望するエネルギー諸部門に関して折り良い協定を結ぶために介入し、政治的圧力を加えているのである。

その証拠に、トルコによる地域の近隣諸国へ軍事的介入をもたらした継続中のファイルも複数ある。もっとも顕著なのは、トルコ政府が、反体制派のクルディスタン労働者党による攻撃から身を守るため、自らの支配下において国境沿いの分離地帯たらしめようと画策しているシリア北部やイラク北部(に関するファイル)であろう。トルコの希求は同様に、イラクおよびシリアのクルディスタンと、トルコ・クルディスタンおよびトルコ政府にとって最大の脅威となっている彼らの自治権獲得の野望を分離するための領域を設置することにも向けられている。経済面においては、トルコで20年にわたって権力を握る公正発展党が、東地中海のガス田に自国の影響力を課すことを希求している。なぜなら同地は、トルコ政府が熱心に投資しようとしているエネルギー分野において、同国にとっての救済の地であるからだ。同地にトルコの影響力が確立することは同時に、同国がエネルギーの諸問題に関連する多くの政治的余波から救出されることを意味するのである。

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翻訳者:吉岡珠実
記事ID:53845