遊牧地に頻発する家畜ドロボー(2):閉ざされた遊牧民の「道」
2013年05月08日付 Jam-e Jam 紙
コフギールーイェ・ボイェルアフマド州(ウィキペディアhttp://en.wikipedia.org/wiki/Kohgiluyeh_and_Boyer-Ahmad_Provinceより)
コフギールーイェ・ボイェルアフマド州(ウィキペディアhttp://en.wikipedia.org/wiki/Kohgiluyeh_and_Boyer-Ahmad_Provinceより)

■移動の季節

遊牧部族のボイェル・アフマディーとガシュガーイーの春の移動が始まった。彼らは、ギャチサーラーン県の丘に別れを告げ、[州都ヤースージのある]ボイェルアフマド県と [隣接するエスファハーン州の]セミーロム県にまたがるデナー[ザグロス山脈最高峰4409m]の山ろくへと向かう。そこで、春と夏を過ごすのだ。むろん移動の道中で盗賊に遭いさえしなければ、である。奴らは遊牧民の財産である家畜を奪っていくのだ。

■閉ざされた遊牧民の「道」

今年70才になる[ボイェルアフマド部族の]アーガーイー族ショクロッラー・セイフィー氏は、遊牧部族民は苦難とともに育ち、苦境には慣れていると言う。しかし、彼は、残酷な刃で遊牧民らの疲弊した心を痛めつける奴らの仕打ちに怒りを隠さない。

セイフィー氏によれば、盗賊たちが、遊牧部族から平穏な暮らしを奪うのは、移動路が尽きる場所である。遊牧民の移動路は、長い歴史のなかで出来上がってきたものだ。しかし、そこに天然資源があることで、第三者に移譲されてしまっている。そして、移動路は封鎖されてしまったのだ。

■「あなた方は沙漠にいる。我々にはどうにもならない」

セイフィー氏は、メフル通信にこう語った。

この問題について幾度となく行政担当者らに掛け合い、遊牧部族民の安全の問題について話し合った。昨年はギャチサーラーンで、首長も出席しての会議も開かれた。しかし、会議の席で彼らはこう言ったのだ。窃盗団は昼間は街で電気ケーブルを盗んでいるんだ。我々にはどうにもならない。それに、あなた方は沙漠にいるではないか!」


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( 翻訳者:8400001 )
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