遊牧地に頻発する家畜ドロボー(3):「盗人の顔に傷一つつけられない」
2013年05月08日付 Jam-e Jam 紙
ボイェルアフマディー族とカシュガーイー族の移動の季節が始まった(地方ニュースサイトBoyer News.com[http://boyernews.com/40381/]より)
ボイェルアフマディー族とカシュガーイー族の移動の季節が始まった(地方ニュースサイトBoyer News.com[http://boyernews.com/40381/]より)

■女たちと男たちが交代で見張り

今年70才になる[ボイェルアフマディー部族の]アーガーイー族ショクロッラー・セイフィー氏は、さらにこう語った。

今じゃ、[冬営地から夏営地への]道中は、昼間は移動し、夜には見張りをしなけりゃならない。それもこんな具合だ。夜中の12時までは女たちが起きていて番をする。そして、12時になると女たちは眠り、男たちが起きてそのまま夜明けまで見張りをするんだ。

■「我々は最低限の防御さえできない」

セイフィー氏の言葉を続けよう。

こんな具合じゃ、我々は疲れるなんて通り越して、何もできなくなってしまう。なぜなら家畜ドロボーたちは、夜中の12時過ぎてからやって来るんだ。ほんの少しでも目を閉じようものなら、家畜の群れをかっさらっていく。家畜ドロボーは、いつだっていた。昔からこんな言葉があるくらいだ。『ヤギの足あれば、盗人の目あり』とね。

しかし、我々は最低限の防御さえできない。なぜなら、もし盗人の顔に傷一つでもつけようものなら、次の日に奴らが文句をつけに来て言うんだ。「私たちは羊を買いに来ていただけなんですよ!」とな。いったい何のために、夜中に家畜を買いに来ていたというんだ?

■「自分たちのパンを減らしてでも羊に食べさせる」

セイフィー氏は、さらにこう話した。

我々は羊たち一匹一匹を育てるのに、心血を注いでいる。自分たちのパンを減らしてでも、大麦やワラや牧草を買い、羊たちが腹をすかせないようにしているんだ。家畜たちは、我々の唯一の資本であり財産だ。我々は、この家畜によって日々の暮らしを立てている。この唯一の資本が、一部はおそらく盗人どもにさらわれ、また、病気で死に、移動の途中にハイウェイでトラックに轢かれてしまったら、一体どの程度のものになってしまうのか?


(4)へつづく/(1)(2)をよむ

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( 翻訳者:8400001 )
( 記事ID:29981 )