悪魔崇拝との闘い:スローガンから現実まで
2009年05月04日付 Jam-e Jam 紙
(ある悪魔崇拝者の姿:写真=AP)
(ある悪魔崇拝者の姿:写真=AP)

【事件部】逸脱集団の活動に対して、各関係機関からはさまざまな対応が打ち出されているが、その一方で彼ら、なかでも悪魔崇拝集団の活動は、公然か秘密かの別を問わず、依然として続けられている。テヘランの道沿いには、これらの集団のシンボルマークや服などが廉価で売られているのだ。

 昨年、治安維持軍代理(当時)のゾルファガーリー司令官は、地下活動をしていた50もの悪魔崇拝集団のメンバーらを特定・逮捕したことを発表したことがあった。この発表は瞬く間に各メディアの注目の的になったにも拘わらず、これらの集団の活動やメンバー勧誘の方法、生態については、あまり詳しく報じられることはなかった。しかしながら、性的放逸や社会の価値観への敵対的行為とも関連する、逸脱した悪魔崇拝集団による秩序紊乱的な行動こそ、この問題の本質なのである。

 イラン国営テレビ第3チャンネルは以前、逸脱集団、特に悪魔崇拝集団のメンバーらの逮捕の様子を放映したことがあったが、そのなかで一般の社会では信じがたい身の毛もよだつような証言も聞かれた。

 これらの証言に続き、治安維持軍公共地域警察長官のナジャフィー司令官は悪魔崇拝集団の活動に関して、「悪魔崇拝の小道具・アクセサリなどを販売していた17の店舗が特定され、現在司直の手に委ねられている」と述べていた。

仮想空間での活動

 その後しばらくすると、逸脱集団に関する様々な証言は人々の記憶から忘れ去られていったが、しかしショップや道端では再び、逸脱集団、特に悪魔崇拝集団に関わるマーク〔のついたアクセサリ〕などが安価で売られている様子が目につくようになっている。

 コンピュータ犯罪対策検察長官代理を務めるレザー・ジャアファリー次席検事は、このことについてジャーメ・ジャム紙に次のように述べている。「われわれの社会には、逸脱集団や悪魔崇拝の居場所など存在しない。これらの集団の構成分子らに対しては、厳正に対処する」。

 ジャアファリー次席検事はその上で、「コンピュータ犯罪対策検察庁が発足して以降、逸脱集団の構成分子に対して法的な取り締まりを行うことが、この検察庁の任務の一つとなってきた。残念なことに、これらの集団の首領どもは、外国人の影響にドップリと浸かり、〔我が国固有の〕価値観や信仰に挑戦状を叩き付けようとしている。彼らは偽りの魅力で、青少年を恐ろしいワナに陥れ、そうした上で青少年を《悪用》しているのだ」と明言する。

 同次席検事はさらに、「〔青少年を〕秘密の会合に招き、夜な夜なパーティーを開いては、招かれた客人に麻薬・向精神薬を与え、性的放逸にふける、というのが彼らの手口だ。その兆候を、仮想空間の中で目にすることができる。これらの問題に、家族の方々やメディアは真剣に注意を払い、市民への啓発に努める必要がある」と続けた。

家出と犯罪の教唆

 テヘラン刑事検察庁第4課のアミール・エスマーイール・レズヴァーンファル検事補も、このことについて次のように述べている。「しばらく前、数人の少女が家出し、警察の捜索を受けたことがあった。この時明らかになったのは、これらの少女たちはある悪魔崇拝集団にそそのかされて家出し、陵辱されたということだった。少女たちは供述のなかで、この集団のメンバーらとインターネット上の関係を作った後、1週間にわたって複数の少年少女らとともにある家の地下で過ごし、そこで向精神薬や合成麻薬などを用いていたことを告白している」。

 レズヴァーンファル検事補はさらに、「この事件で数名が逮捕されると、〔現場からは〕奇妙きてれつなマークや紋章、服などが発見された。容疑者らはその後、テヘラン州刑事裁判所に送られた」と続けた。

 「これらの集団の活動に対して無関心でいるならば、長期的観点から見た場合、社会はとんでもない代償を支払わされることになるだろう。まず最初に、家族のまとまりを損ない、社会関係を傷つけ、〔道徳的な〕放逸〔を助長する〕ことになるだろう。この問題には、真剣な対策が必要だ」。レズヴァーンファル検事補はこう述べる。

逸脱集団

 大学教員のサファル・ハーキー氏も、「残念なことに、逸脱集団、特に悪魔崇拝集団の活動——それは西洋諸国ですら禁じられているものだ——は、日に日に拡大を続けている。これらの逸脱集団の首領どもは、人間的な価値や尊厳に相応しからぬ奇妙な行動によって、人々を破壊へと導いている」と指摘する。

 同氏はさらに次のように続ける。「〔西暦?〕70年代から活動を開始し、残念なことにイランでもその痕跡が見られるメタリカやアイアン・メイデン、W.A.S.P、黒サソリ〔ドイツのヘヴィメタルバンド、スコーピオンズのことか?〕‥‥といったグループは現在、特に注意を払われることなく、地下ネットワークという形で、一部の都市に根を張っている」。

 同氏はその上で、「悪魔崇拝者と呼ばれる人々のシンボルとしては、骸骨をかたどったギザギザした指輪や長髪、スキンヘッド、けばけばしくブカブカとした服装などが挙げられる。彼らはまた、特殊なメロディの音楽を用いている」と付け加える。

 ハーキー氏はこれらの集団に対する法的対策に関し、次のように指摘している。「イスラーム刑法第498条から500条によると、破壊活動への関与が認められない場合、彼らには10年以下の禁固刑が定められている。また彼らの活動が治安を脅かし、腐敗を広めることを目的としたものであることが証明された場合、彼らには死刑が定められている‥‥」。

 要点だけ言おう。文化関係機関の怠慢・不注意によって、逸脱集団に対する警告音は、然るべきほどには責任者たちの耳に届いていないということ、その一方でこれらの集団、特に悪魔崇拝者たちの活動は日ごとに活発化しているということを、われわれは率直に認めねばならない。

 実際、これらの逸脱集団に関連する服や小物、アクセサリは青少年を中心とする客たちに、容易に提供されているのだ。例えば、市の中心街を走る通りを見てみよう。これらの小物をショーウィンドーの奥に飾り、無知な青少年たちが悪魔のワナにかかるのを手ぐすね引いて待ちかまえているようなショップを複数、目にすることができるはずだ。あるいは、週末休みに市内の公園にでも行ってみるといい。〔逸脱集団の〕パンフレットやCDを行商している人々を見かけるはずだ。彼らが実際何を行っているのか、じっくり考えてみる余地があるだろう。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:16364 )